2023.9.13南信州の農

一年で最も月がきれいに映る9月。
日本人はもともと農耕民族、ですから秋の農作物の出来はくらしに密接にかかわるものでした。
ここ南信州の稲穂もさわさわと徐々に重たくなり、まさに各地でお米の収穫がはじまりましたが、
お米、サツマイモなどの芋類、フルーツなどの農作物の収穫に感謝して今年の豊作を願いたいものです。
皆様に可愛がっていただいている素朴なうつわ 家族茶碗 、日々和やかに御飯を食べていただきたい、
という想いで生まれた製品です。 あたたかみを感じる自然土の心地よい手触りはお米と相性が良く、
両手で御飯茶碗をもった時に、ふっくらと炊き上がった優しい温度がじんわりと手肌に伝わります。
つるりとした透明釉が内側に施され、箸あたりもよく、最後の一粒までしっかりといただけます。
まだ余り御飯がすすまないお子様が、お米のおいしさを直に感じられることを願って、
御飯をぜんぶ食べられたら見えるイラストの笑顔で、大らかな優しい子に育ちますよう。
最近、自然に恵まれた環境で子育てを望む人が増えているようです。私たちが信州に移住した9年程前に比べ
驚くほど移住者が多くなり、なかでも「教育移住」を目的にしている方が目立っています。
個性を尊重した総合教育や、近くの森を散策したり、星空の中で焚き火を楽しんだり、野鳥を探したりと、
さまざまな自然体験を通して子供たちは五感を刺激され、豊かな感性が育まれることを希望するのでしょう。
大人も今の仕事をしながら半農生活に入れる移住希望者対象のWSもあり、自分の生き方を思考できそうです。
オーガニック志向の方も増えており、命を守る、これからの日本の食事情が愉しみとなりました。 それぞれの
地域に根づく文化、穏やかな風土や人、豊かな自然環境をリスペクトしていきたいと改めて思うこの頃です。
2023.8.22苔のむすまで

爽やかな秋風が朝晩にながれ、澄んだ星空がうつくしい南信州です。
夏季休業中はたくさんのご注文をいただき、ありがとうございます。 照明のご依頼も多くいただきました。
おかげさまで 16年目を迎えることができた(株)アールピースファクトリー、記念すべき某日の様子です。
朝に産地から届いた製品を確認したのち電話で打ち合わせ、その後ご注文メールを拝見しながら在庫の確認、
出荷手配とご返信後にシステム上の入力作業、午後近くに住む知人からサプライズのお土産をいただき談笑、
平穏にデザインの仕事をすすめていると突然のご相談内容を受け倉庫で製品探し、夕方遅くに発送準備へ。
日々慌ただしく過ごしておりますが、無事ここまで歩んでこれたのは、いつも応援してくださる皆様と、
温かく見守ってくださる各方面の皆様のご愛顧のたまものと一重に感謝しています。ありがとうございます。
ここでお知らせです。
誠に恐れ入りますが、このたび製品の一部につきまして、価格改定をさせていただくこととなりました。
昨今の世界情勢の影響をふくめまして、陶器製造に関わる原材料費の高騰などにより、弊社にて
従来価格を維持することが困難となっております。産地職人の人手不足、高齢化も進んでいる現況です。
ご愛好いただいている皆様には大変申し訳ございませんが、ご了承のほどお願い申し上げます。
今秋 9月1日(金)より新価格への移行をさせていただきますが、
家族茶碗・oto-baco(音箱)・BARCA などの製品につきましては現状のままとさせていただきます。
ただいま製品をご検討中のお客様は、ぜひ 8月中にご依頼くださいますようお願いいたします。
なお今後も、皆様にささやかな灯りをお届けできますよう、一層の力を尽くしてまいりますので、
ご理解賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。
2023.8.4悠久の時をこえて

大暑の候、いかがお凌ぎでしょうか。
約一万年前の日本、縄文時代の住居跡には 炉(Ro)があったそうで、いろりの起源です。
いろりは家の象徴とされ、神の宿る火所として清く永く保たれ、人が集まり食事をする場所でした。
現代のいろりになる事を願い、キャンドルホルダー IRORI-BI(いろりび) を発売いたしました。
大地の恵みである土からできた器は、製作時にさまざまな理由で、良品として出荷できないものが
生まれています。 限られた資源を大切に使いたいという想いから、食器用としては不向きな
TOU-GLASS を、最後まで明るい火を放つキャンドルとSETにして、皆さまにお届けいたします。
光が透ける白い陶器にキャンドルを入れて炎を灯せば、いろり火のような揺らぎと、柔らかい情景が
ほんのりと映し出されます。夕暮れからのひと時、心をほどき、穏やかな余韻をお愉しみください。
悠久の時を感じさせてくれる、長野県木曽谷の宿場町、奈良井宿(Narai-juku)の町並み。 本日、
BYAKU Narai 様の別館 島茂屋(Shimamo-ya)、かね上屋(Kanekami-ya)の御宿がオープンしました。
ご縁をいただき、新茶器の KYU-SU FUTARI ・ CYA-WAN 等を新客室にてお使いいただいております。
非日常の癒しの空間とともに、木曽の漆器や鉄錆のような深い色味の茶器で、ゆったりとお寛ぎください。
木曽地域に眠る、BYAKU(百)の物語を伝える御宿として、これからも旅人に愛されてゆくことと思います。
夏季休業のお知らせです。
8月11日 (金) 〜 16 (水) の期間は、出荷等をお休みさせていただきます。
ご注文内容にもよりますが、8日(火)午前10時までのご注文分は休み前に発送可能となります。
公式オンラインショップ は受付していますので、ご注文品は 17日以降に順次発送いたします。
ご迷惑をおかけしますが、ご了承の程お願いいたします。ご利用を心よりお待ちしております。
2023.7.6石との出会い

緑濃い夕暮れ、涼やかな風鈴の音がしずかに鳴り響いています。
ふいに思い立ち、山梨県の里山にある Gallery で開催されている「光と影の音」へ。
黒い衣装を身につけた 彫刻家 上田亜矢子 さんが、親しみやすい笑顔で出迎えてくれました。
八ヶ岳南麓のアトリエで制作される亜矢子さん。白い空間に置かれたやわらかい空気感の石彫は、
直線と曲線で織りなされたうつくしい形で、思わず手で触れたくなる滑らかな質感をまとい、
さまざまな白の彫刻やブロンズの作品は、自然光に揺られ、ゆっくりと気配を変えていくように見えました。
初めてお会いするのに何故かどこかで会ったことがある雰囲気のお人柄に惹かれ、愉しい時間をもてた一日。
来週 7月10日(月)まで、evam eva yamanashi 形 にて開催中です。隣りの茶房、Shopもおすすめです。
夏の線香花火がぽとりと落ちる瞬間の炎をかたどった照明、TOU-LIGHT トウライト が入荷いたしました。
手と土との対話で描かれたうつくしい丸みのあるペンダントライトは、日常にやすらぎのある場所を創り、
揺らめく自然の光が灯り、おだやかに過ごせる居心地の良い空間が生まれます。 胴体サイズは2種類で、
照明のコード色指定・長さ調整・ダクトレール仕様への変更などは、ご購入時のみ調整可能でございます。
凛とした白い陶肌の表情と、柔らかな光のグラデーションをお愉しみいただけると嬉しいです。
2023.6.8みずの流れ

大地に植えた紫陽花(Ajisai)が美しい時季となりました。
久しぶりに訪れた滋賀の信楽町にて、日頃お世話になっている懐かしいお顔に出逢うことが叶い、
陶製品を手がけている現場のようす、課題、そして持続可能性についても語り合うことが出来ました。
水の流れのように、長く信頼を寄せている産地とのお付き合いのなかでも気付くことは多々あり、
もちろん時代に合う物づくりを意識することは必要ですが、変わらない志を認識する大切さを感じました。
雨のなか2つの工房を巡り、発送作業をしている倉庫では製品の仕上がりを確認させていただき、
上がけの釉薬を調合している釉薬屋さんにも2度伺い、一日では抱えきれないほどの内容となりました。
信楽町の皆さま、本当にありがとうございました。
帰りに立ち寄った京都では、海外からの旅人も多く、祇園祭 前の落ち着いた賑わいを見せていました。
以前より、AR Piece(アールピース)製品を大切にお取り扱いいただいている店舗様へも伺い、
とても楽しい時間を過ごすことが出来ました。品揃えもセンス良く、会話にも沢山の学びがありました。
瀬戸内海。香川の直島町も、1週間早く梅雨入りしたとのこと。
夏が近づいているためか、直島限定カラーのような「瀬戸内グリーン」の海になってきたそうです。
アートと暮らす直島のベネッセハウス パークに隣接し、草間彌生「南瓜」にもほど近い場所にある、
ベネッセハウス ショップ様 へ、海色の限定品をお届けいたしました。宿泊者以外の方も立ち寄れます。
おなじみ TOU-GLASS の製品は、透過性のある土の風合いを生かしてつくられた陶器のグラスですが、
2種類の土を小さな団子状に丸めて、それを上下に重ね、職人の手で一気に挽きながら製作されます。
海色に染まった土と自然に混じり合い、偶然の出会いのなかで、美しい模様に仕上がっています。
凛とした有機的なかたちとともに、揺らめく空気感に触れることができる贅沢なグラスです。
身体があたたまる飲み物、ひんやりと口当たりよく冷やした冷茶や白ワインなどにお使いいただけます。
それぞれの個性を愉しみながら、心に触れるものを、ゆったりと選んでいただけると嬉しく思います。
2023.5.10うつろいの情景

透きとおった緑風が吹き、初夏を想わせる心地いい季節です。
青山通りの近くに佇む、個性的な建築で知られる シアター・イメージフォーラム を過日訪れました。
日本の美意識を独自のスタイルで表現しているブランド、matohu の創作風景を写した映画は素晴らしく、
知人であるデザイナーのお二人を久しぶりに近くで感じることができました。
「うつろいの時をまとう」 というこのドキュメンタリー映画は、日常のなかの風景や物に目を向け、
そこから得たインスピレーションを、ことばに変え、人の着る服に昇華させていく作業を描いています。
自然にある鮮やかな色合いやうつろいに真正面から向き合い、答えのない創作のすべての工程を妥協せず、
遠慮のない議論をくり返しながら、腑に落ちるところを見つけていく作業は想像以上のエネルギーが必要です。
そこに関わる製作の方々とともに、そのプロセスがあるからこそ人々を魅了し波及する力となるのでしょう。
物づくりに関わるお仲間として、これからも堀畑さんと関口さんのお二人を心より応援しております。
東京、表参道駅すぐのビル2階にある Spiral Market(スパイラルマーケット) さんのお店では、
光りをまとう陶器のグラス TOU-GLASS の定番色・限定色 SKY を手に触れてゆったりとご覧いただけます。
優れた透過性のある土をつかった口当たりや、ざらりとした手触りが感じられる贅沢なグラスは、
ハーブティーなどの温かい飲み物や、冷茶、白ワインなどの冷たい飲み物にも安心してお使いいただけます。
儚くも美しい日々に、澄んだ空を映した手仕事のグラスをお愉しみいただけると嬉しいです。
美味しい食卓の時間に寄りそう 家族茶碗 ライスボウル も、店内に置かれていますので是非見つけてください。
あらたな命が誕生し、兄妹がひとり増えるたびに、お茶碗をひとつづつ追加していく身近な愉しみも。
東京駅前の KITTE 丸の内 1階には 「+S」Spiral Market 丸の内 の上質なお店がありますので、
初夏の散策をしながら訪れてみてください。こころ豊かに暮らせる、小さなヒントに出逢えることと思います。
2023.4.6杜人の声

春風駘蕩(shunpuu-taitou)の候、ここ南信州の伊那谷もまさに穏やかな春風景が広がります。
過日、伊那谷にある駒ヶ根市にて、 杜人(moribito) の映画を観る機会を与えていただきました。
このドキュメンタリーは、大地を再生させる具体的な内容とともに、日本各地で実際におこなわれた
環境再生医の 矢野智徳(yano-tomonori)さんの挑戦と、技に触れることが出来る作品です。
なぜ、植物が枯れていくのか。 なぜ、生きものたちが減っていくのか。
様々ないのちに向き合ってきた彼が気づいたこと、それは、大地の呼吸が弱っているということ。
堰き止められた自然界の循環を取り戻すため、自然にならう彼の行動に共鳴する方も多いようで、
まず 風(空気)と水を通すこと。身近にある自宅の庭など、移植ゴテがあれば始められる簡単な行動です。
東京在住、監督の前田せつ子さんもお越しくださり、多様な活動をされる方々とのトークも貴重な時間でした。
おおきく育った木を、適正な時期に使っていくことは、健やかな森のツリーケアに関しても大事なこと。
豊かな信州の山林で育まれた大切ないのちを、八ヶ岳在住の職人がオルゴールのかたちに製作しています。
日々の時を告げる鐘の音であったことを起源とするオルゴールの製品は、どこか懐かしく優しい音色で、
自然環境から聞こえてくる音にほど近い周波数が含まれており、音育にも貢献してくれます。
音箱(oto-baco)から流れる音の動画を、製品ページの中程にリンクしましたのでぜひご覧ください。
こちらからご試聴いただけます
木と大地、生きとし生けるすべてのものが、歓喜する世でありますよう。
2023.3.7絵画の春

春めく長閑な一日、ゆるやかに大地が緩み、ちいさな草の芽が吹き出しています。
上野の東京都美術館(TOKYO METROPOLITAN ART MUSEUM)で開催中の エゴン・シーレ展 は賑わいを見せ、
100年以上前にウィーンが生んだ若き天才、シーレの絵画をゆったりと堪能することが出来ました。
創造性のある構図、視点、テクスチャー、モデルのポーズなど、溢れんばかりのエネルギーを受け取りました。
4月9日(日)まで開催していますので余裕をもってお出かけください。
美しい散歩道の京都・哲学の道、銀閣寺すぐのところに 銀鶴堂(Ginkakudo) 様がございます。
京都をはじめ、日本各地の作家などのモダンでユニークなプロダクトを取り扱っているとても素敵なお店です。
海外、国内のお客様に向けて、透ける陶器のグラス TOU-GLASS CUP Gray などを店内にてご覧いただけます。
あたたかい飲み物、冷やしたアイスティー、Wine、Beer など少し贅沢な気分を味わっていただけるグラスは、
ざらりとした陶器らしい土の手触りと、口当たりの良さを感じていただける手仕事の逸品です。
2種類のことなる土が混ざり合った景色は、たったひとつだけの運命の美しい出会いから生まれています。
桜色に染まるころ、移りゆく自然とともに、春風が吹く町の散策をゆったりとお愉しみください。
2023.2.7春の気配

立春も過ぎ、楚々と春の風が吹きはじめました。
過日久しぶりに訪れた、北八ヶ岳ロープウェイから見渡す雪山の景色は大変美しいものでした。
自然界で見られるありのままの雄大な姿は、いつも見惚れるばかりの尊厳を感じます。
日頃はオンラインショップをご利用いただき、誠にありがとうございます。
あたたかな季節が近づき、最近はお祝いのギフトや熨斗などのご依頼が多くなってきました。
表書き・名入れのご要望も承っておりますので、ご購入時はお気軽にメッセージをお書きください。
ひと組ごとに、熨斗のデザインをさせていただいております。
静岡の浜名湖に佇む 星野リゾート 界 遠州様 では、1月末から新客室の稼働がはじまり、
あたらしいお部屋で 新茶器 KISETO(黄瀬戸)の製品をお使いいただける運びとなりました。
選び抜かれた美味しい茶葉と急須、お茶請けのペアリングを滞在シーンごとにお愉しみいただけます。
ゆったりと浜名湖の水面を眺めながら、露天風呂の温泉とともに心地いいひと時をお過ごしください。
以前に泊まった旅宿で新茶器をお使いくださり、ずっとずっと探していましたと、
お客様から頂戴するあたたかいメッセージは何よりこころに響くものです。
儚くも美しい自然と人、日々愛でたくなる製品をお届けできたら嬉しく思います。
2023.1.11空の彼方へ

謹賀新年
草木に宿るいのちが躍動する一年となりますよう、
皆さまのご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
おかげさまで、信州伊那谷へ移り9年目の初春となりました。
自然の流れに寄りそう暮らしは貴重な学びとなっております。
田舎暮らしは Slow life だと思われる方も多いことでしょう。
土を触ったり、湧水を汲みにいったり、米を精米したり、味噌を仕込んだり、
地元産の食材を調達したり、植物の枝を剪定したり、野草を摘みにいったり、
人が健やかに生きるために、日々なにかと活動しているように思います。
心地よい日常の働きは、身心ともに穏やかでいられることに繋がります。
新しい風にのって、この一年を愉しめますよう願っています。